ビジネスシーンで初対面の相手と出会った時、あたりまえに使うツールといえば名刺です。
この名刺ですが、サイズや紙質、デザインの方向性によって、相手に与える印象は大きく変わります。
その中でも初対面の印象を大きく左右する割りに、あまり意識されていないポイントが「名刺の厚み」ではないでしょうか。
この記事では、そんな名刺の「厚み」について、さまざまな考察を重ねてみたいと思います。
厚みのある名刺、薄手の名刺、それぞれのメリット・デメリット。
さらには、厚みごとのおすすめ業種や利用シーンなどについて、詳しく解説します。
自社や自己のブランディングをするための名刺の中で、見落とされがちな厚みの基本を学び、最適な名刺を手に入れたい方は、どうぞ最後までお付き合いください。
名刺に決まったルールは存在しない

最初に断言しておきたいことは、名刺に守らなければならない厳密なルールというモノは、何一つ存在しません。
例えば、一般的なビジネスシーンで利用される名刺のサイズは、「名刺4号」と呼ばれる(関東では東京4号、関西では大阪9号と呼ばれることもある)91mm×55mmサイズの用紙が使われます。
しかし、利用されること自体は少ないものの、大きい名刺、小さい名刺なども既製サイズとして存在しています。
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一般的な用紙の厚み基準
それでは、厳密なルールは存在しないとしても、名刺の厚みに対しての「一般的な」基準というものは、どのようなモノがあるのでしょうか。
紙の厚さを表す単位には、「坪量」「連量」「紙厚」といったようなモノが利用されます。
この中で名刺の厚さは、「連量」という単位が使われることが多いようです。
これは、四六判(1091mm×788mm)の原紙を1000枚重ねた時の重さを表し、「kg」で表されます。

【一般的な用紙の厚み(連量)】
- 名刺:90kg~220kg
- コピー用紙:55kg~90kg
- ノート:110kg~235kg
- 官製はがき:180kg
- DMはがき:135kg
- 写真はがき:220kg
- チラシ:70kg~110kg
名刺に最適な厚みとは
一般的に名刺に用いられる用紙の厚みは、90kg~210kgと考えられています。
そのうち、もっとも一般的なビジネスシーンで利用される名刺の厚みは、官製はがきとほぼ同等の180kg程度。
また、高級感のある厚みの名刺には180kg以上のモノを利用し、安価に仕上げたいのであれば135kg以下の用紙を使うことが、もっとも一般的かつ最適な厚みの選び方です。
名刺の厚みが印象を左右する

名刺の厚みというのは普段見落とされがちですが、初対面の相手に対する印象を左右する、見逃せないポイントです。
厚みのある名刺、薄手の名刺にはそれぞれメリット・デメリットがありますので、それを理解した上で、自身のブランディングにもっともふさわしい用紙を選ぶようにしてください。
厚みのある名刺のメリット
官製はがきと同じ180kgの一般的な名刺で使われる厚みを越えた、180kg以上の用紙の場合は、手にした瞬間に重みを感じられるぐらい、しっかりとした名刺を作成することができます。
こうした厚みのある名刺は、渡した相手に「信頼」や「高級」「上質」といったような印象を与えますので、自己のブランドイメージの「信頼感」を高めたい場合には有効です。
また、厚みがある分折り目がつきにくく、傷みにくいため耐久性も抜群です。
長期間にわたり取引を継続するような場合には、非常に有効な名刺となるでしょう。
さらに紙の厚さを有効活用して、フチに色を付けたりするなど、デザインの幅が広がるのもメリットの1つです。
厚みのある名刺のデメリット
反面、数枚の名刺を持つだけでもそれなりの厚み・重量となり、名刺入れにたくさん入らないなど、かさばるというデメリットもあります。
これは受け取った相手の場合も同様ですので、大勢の商談で自社の名刺を何人分も渡す場合には、相手が煩わしさを感じる可能性も考慮する必要があります。
また、重厚感のある名刺である分、逆に堅いイメージを与えることにもつながりますので、庶民的な業種・業態や、フットワークの軽さを売りにする場合などには向いていません。
さらにいえば、厚い用紙はそれなりに費用も高額になります。
薄手の名刺のメリット
135kg以下の薄手の名刺の場合は、厚みのある名刺の逆で、保管・運搬時にもかさばらないというメリットがあります。
また、軽くやさしい印象を与え、おしゃれでスタイリッシュに見えるのも特徴です。
親しみやすい印象ともなるため、相手とのコミュニケーションを綿密に取るアドバイザーなどには、かえって利点となるでしょう。
最近では、単に薄手の紙というだけでなく、フィルム素材やトレーシングペーパーなど、特殊用紙を使った薄手の名刺も数多く使われています。
薄手の名刺のデメリット
薄手の名刺はその特性ゆえ、角が曲がりやすかったりするなど、どうしても痛みやすいという弱点があるのは否めません。
名刺交換の際に名刺入れから出してみたら、端の部分がヨレヨレになっていた、などということが無いように気をつけてください。
また、あまりに薄い名刺の場合は、どうしても頼りないイメージと重なりやすく、安っぽく嘘くさい職業に見えてしまうというデメリットもあります。
名刺の厚み別おすすめの利用シーン

では、厚みのある名刺と薄手の名刺、それぞれを利用する最適なシーンや、業種・業態というのはどういうものでしょう。
それぞれについて、一例をご紹介します。
厚みのある名刺
「厳格」「責任感」といったイメージから連想させる、「老舗感」や「重厚感」「歴史」を感じさせる名刺となりますので、信頼感を得たい職業・職種の場合にはもっとも有効な名刺です。
- 士業・医師など信頼感が必要な職業
- 老舗飲食店・老舗旅館など歴史を感じさせたい業種
- 会社の代表者など一般社員と区別した、地位のある役職者の場合
薄手の名刺
「軽やか」「スタイリッシュ」といったイメージを連想させ、おしゃれなデザインの名刺が作りやすい薄手の用紙。
適度の薄さの名刺を用意すれば、フットワークの軽さやカジュアルさを演出できます。
- 保険営業・顧客サービス担当者など、フットワークの軽さをアピールしたい職種
- デザイナー・Web関連業種など発想が柔軟なクリエイター業種
- Webライター・ブロガー・動画編集者など、親しみやすさを演出したいフリーランス
まとめ
初対面の相手に好印象を残す名刺を作るためには、サイズや紙質、デザインに凝ることも大切ですが、普段見落とされがちな厚みにこだわってみるのもおすすめです。
この記事では、そんな名刺の厚みについて、さまざまなポイントを解説。
さらに、名刺の厚みによる、相手への印象別おすすめの利用シーンについてご説明してまいりました。
名刺の厚みを決めるには、単に「厚みのある名刺なら高級そう」とか、「予算を抑えるために薄手の名刺」といった、一元的なモノの見方だけでは判断できません。
自社や自己のブランドイメージはどういったものなのか、どういったメッセージを伝えたいのか、そういったモノをしっかりと考えて名刺の厚みは決めるべきです。
どんな厚みの名刺が最適か、イメージがわきにくい場合などは、業者からサンプル用紙を取り寄せるなどして、しっかりと作りたい名刺のイメージを確認した上で、最適な用紙選びを行ってください。