ビジネスシーンでの名刺交換の際、名刺そのものが持つ印象というのは、初対面の相手に対しては、時として名刺の主よりも重要な意味を持ちます。
それは、ペラッペラの薄い名刺と厚手のいかにも高級そうな名刺を受け取った時の、あなたの心の動きを想像してみれば分かるでしょう。
この記事では、特に高級感のある名刺を作る場合に考えをフォーカスし、その用紙選びやデザインのポイントについて、深く考えていきます。
最後までお読みいただければ、客単価の高い飲食店やサービス業、老舗店舗などの経営者にとって自らの業務のブランドイメージを的確に伝えられる、高級感のある名刺の作り方のポイントがお分かりいただけるでしょう。
名刺はブランドイメージの決め手

「名刺」という、91mm×55mmの小さな紙。
この1枚に込められたメッセージというものは、単なる記載されたデータだけではありません。
紙質やフォント選び、デザインなど、名刺の印象を左右する要素は実にさまざまです。
特に高級感を演出したい店舗型ビジネスや、会員制サロンなどの場合は、ヘタな名刺を用意してしまえば、自身のブランドイメージを落とすことにもつながりかねません。
こうしたケースでは、やはり名刺自体も高級感を印象づけるものを用意するべきです。
高級感のある名刺の作り方
それでは、高級感のある名刺とは、どんなところに気をつけて製作すればよいのでしょう。
ここでは、まず「用紙選び」と「フォント選び」にしぼってご紹介します。
用紙選びのポイント
高級感のある名刺を作りたければ、まずは用紙にこだわることが1番大切です。
その際の選び方のポイント別に、詳細を見ていきましょう。
>>参考記事【こだわりの名刺を作りたければ紙の種類へのこだわりを持とう】
ツヤありとツヤなし
名刺に使われる用紙は、コート紙に代表される「ツヤあり」と、マットコート紙のような「ツヤなし」に大別できます。
通常であればこの使い分けは、好みによって選んでも構わないと思いますが、こと「高級感のある」名刺ということに特化して考えると、やはり「ツヤあり」よりは「ツヤなし」のほうが印象的には高級感があるといえるでしょう。
そういった意味で、ここではツヤなしタイプの用紙を前提に考えていきたいと思います。
高級感のある名刺用紙
ツヤのない名刺用紙の中で、さらに高級感が演出された紙質は、おおむね次のようなところに注目して選ぶと良いでしょう。
手ざわりにこだわるタイプ
同じツヤのないタイプの用紙でも、表面が多少ザラザラした和紙のような用紙など、手ざわりがやさしい質感のあるものをおすすめします。
エンボススタイル
同じ手ざわりがあるタイプの用紙でも、和紙のような構造上手ざわりがザラついた用紙ではなく、幾何学的なパターンを用紙全体に箔押ししたエンボス(凹凸)加工された用紙も、高級感のある名刺には向いています。
カラー名刺
一般に写真のようなカラー画像を利用した名刺であれば、プレーンな白い用紙を使うのがベストです。
しかし、画像などを利用せず、テキストデータのみの名刺のほうが高級感を演出するのには向いています。
そうしたテキストデータのみの名刺をオリジナリティのあるものにするには、カラー用紙を使うのもおすすめです。
この場合は、
- アイボリーや生成りといったナチュラルカラー
- さくら色やミント系のやわらかい色あい
- メリハリの効いたマットカラー
などの用紙が良いでしょう。
パステルカラーやビビットなカラーは、今ひとつ高級感とはかけ離れた色合いとなりますので注意しましょう。
高級感の演出は厚みにもこだわろう
高級感のある名刺には、ある程度の厚みも必要です。
一般的なビジネス名刺に利用される厚みは、135kg(紙の重量=斤量)程度のものが使われています。
しかし、ある程度高級感を演出しようと思ったら、180kg以上の用紙を利用すれば、見た目的にも、実用的にもバランスの良い名刺が作れるでしょう。
しかし、厚みがある方が折れにくかったりするなどのメリットはありますが、220kgを越えるような厚手の用紙だと、名刺入れの中でかさばったりもしますので注意が必要です。
>>名刺に最適な厚みの用紙とは?名刺の厚みが印象を左右する!
紙以外の素材も高級感は演出できる
紙以外の素材というのも、個性的な名刺には向いています。
特に、ヒノキなどの端材を名刺サイズに加工した木製名刺は、表面に自然の節目が浮かび上がり、ほんのりとした香りもまとっているなど、いかにも高級な名刺という雰囲気がしておすすめです。
高級感を感じるフォント選び
高級感を演出するために大切なポイントのもう1つは、フォントの選び方です。
名刺に利用されるフォントの種類は、大きく分けて
- 明朝体系
- ゴシック体系
- 筆記体系
- オリジナルフォント
といった系統に分類されます。
この中で、高級感を感じさせるフォントと言えば、明朝体系や筆記体系がおすすめです。
また、各種オリジナルフォントの中には高級感を追求したフォントもありますので、そういったフォントをあえて選ぶのも良いでしょう。
>>【名刺をおしゃれに仕上げるためのフォント12選【選び方のNGも紹介】
シンプルな名刺ほど高級感を感じる
紙質とフォントという2つの要素について、高級感を演出する選び方をご紹介してまいりました。
しかし、高級感のある名刺を作成する場合には、なによりも掲載する内容自体をシンプルにすることを意識しましょう。
あれもこれもと必要な情報を詰め込むより、最低限の情報を選んで、できる限りシンプルなデザインとしたほうが、名刺自体の高級感の演出には有効です。
高級感を感じる名刺に取り入れたい特殊加工

紙質やフォントにこだわり、シンプルな情報を取捨選択したら、あとは実際のデザインを決めるだけです。
この場合、ゴチャゴチャとしたデザインの名刺とならないよう、ワンポイントで名刺に彩りを添える、さまざまな特殊加工を取り入れるのも良いでしょう。
浮出印刷
特殊樹脂のインクを用いて、熱を加えることによって印字した部分が盛り上がって見える印刷方法です。
銅版印刷
凹版印刷やエングレービングとも呼ばれる印刷方法で、世界的にももっとも高級でフォーマルな印刷方法と言われています。
製版から印刷までを熟練した職人が手作業で行い、掘り出された版を用いて文字やロゴマークが浮き出るように、プレスがかけられた印刷手法です。
特色印刷
金や銀といった特殊なカラーなど、CMYKと呼ばれるフルカラー印刷手法では表現できない特色を使った印刷方法です。
こだわりの色味でワンポイントのロゴ表現などを行いたい場合には特におすすめします。
箔押加工
名刺の一部に金や銀のフィルムを転写する加工法です。
キラキラと輝く箔の美しさで、ロゴマークなどのワンポイントを装飾すれば、高級感のある大人っぽい印象を与えてくれます。
空押加工
紙の質感を活かし、紙全体に凹凸のある版を用いてプレスをかけ、文字や意匠を浮かび上がらせたり、沈み込ませたりして、紙自体に凹凸のある模様を作り出すことができます。
縁をいろどる
ある程度以上の厚みのある用紙を使った場合には、4辺の縁に色を付けるのもおすすめです。
こうすることによって相手の名刺入れの中でも、たくさんの名刺から一発であなたの名刺を見つけ出すこともでき、アクセントの効いたデザインとなります。
まとめ
この記事では、高級感を感じさせる名刺を作る際に注目したい条件を
- 用紙選び
- フォント選び
- 記載する情報選び
に分けて解説。
さらには、高級感を感じさせる特殊加工のアイデアについてご紹介いたしました。
高級感を感じさせる名刺のポイントは、なんといっても「シンプルな名刺」を意識することです。
用紙の色合いやフォントと特殊加工の組み合わせなど、なにごともやりすぎてしまってはすべてが台無しです。
記載する最低限の情報とともに、それらデザインのポイントも整理して考えることで、美しく高級感を感じる名刺はできあがります。
もしもその組み合わせに悩んだ場合は、プロの名刺デザイナーや、専門業者に任せるなど、使えるサービスをうまく組合わせて、どこに出しても恥ずかしくない素敵な名刺を手に入れてください。