名刺を自作する場合、もしくは自分でデザインだけ行い印刷のみ外注する場合、どちらの場合でもまず最初に知っておく必要があるのは、名刺のサイズ問題です。
初対面の相手に名刺交換のときからインパクトを残し、あとあとまで印象に残るためには、一般的な名刺サイズとは違った大きさの名刺を作ることもおすすめします。
では、こういったさまざまな名刺デザインをパソコンで作る場合、サイズや「解像度」の設定などは理解しているでしょうか。
この記事では、名刺デザインを自分で作成する場合の、サイズ指定(mm)やピクセル=画素数(px)、さらに画像解像度(dpi)について、詳しく解説いたします。
デザインデータを自作する場合には、知っておかなければならない基本的な知識ですので、ぜひ最後まで読んで名刺サイズの指定方法について、理解を深めてください。
名刺サイズにルールはない

まず大前提として、名刺のサイズに明確な「ルール」というものは存在しません。
もちろん一般的に利用される名刺の、標準サイズや規格といったものは決まっていますが、だからといってその規格で作る必要はないのです。
とはいえ、名刺入れに入れる場合や、交換した名刺をファイル保存する場合など、やはり通常サイズの名刺のほうが便利なのは当然。
そんな名刺の規定サイズについて、まずは確認しておきましょう。
一般的な日本の名刺サイズ
日本でもっとも一般的に使われる名刺サイズは、名刺4号と呼ばれる91mm×55mmのものがほとんどです。
しかし、利用シーンにおいて次のようなサイズのものも、印刷会社によっては用意されています。
名称 | サイズ |
2号 | 82mm×45mm |
3号 | 85mm×49mm |
4号(名刺4号) 別名:東京4号、大阪9号 | 91mm×55mm |
5号 | 100mm×61mm |
6号 | 116mm×70mm |
名刺のサイズ比率
名刺のサイズ比率はどのように決まっているかご存知でしょうか?
古代ギリシア時代より「神の比」と呼ばれるなど、人々が目にした時に「もっとも美しいと感じる比率」で、「黄金比」というものがあります。
これは数学的に1:1.618(約5:8)で表される比率ですが、91mm:55mmの名刺4号のサイズ比率も、1:1.654となり、他の名刺もほぼこれに近いサイズ比率です。
>>名刺サイズは黄金比が基本|黄金比を意識したデザインの作り方
主な国の名刺サイズ
参考までに、海外の名刺サイズもご紹介いたします。
主な主要国で利用される名刺サイズは、以下のとおりです。
名称 | サイズ |
アメリカ | 89mm×51mm |
欧州 | 85mm×55mm |
オーストラリア | 90mm×55mm |
中国 | 90mm×54mm |
韓国 | 90mm×50mm |
こうした海外の名刺サイズを参考に、スタイリッシュでカッコいい海外風の名刺を作ってみるのも、特にクリエイティブなフリーランスの名刺などにはおすすめします。
海外風名刺を作るヒントについては、次の記事も参考にしてみてください。
>>海外の名刺事情とおしゃれでカッコいい海外風名刺を作る3つのポイント
名刺サイズは自由に決めても問題ない
一般的なビジネス名刺のサイズは、91mm×55mmがほとんどではありますが、もちろんそれ以外のサイズを使ったところで、何の問題もありません。
ただし、変形サイズの名刺には、それなりのメリット・デメリットがあることは、あらかじめ理解しておきましょう。
変形サイズのメリット・デメリット
変形サイズの名刺を使う一番のメリットは、初対面の相手に与えるインパクトでしょう。
一般に見かけるビジネス名刺よりも、大きかったり小さかったり、または細長かったり太めだったりと、サイズ感が違えば違うほど、初対面の相手に与えるインパクトは大きくなります。
当然、その分だけ自身や自社のブランドを、相手に覚えておいてもらう確率は高くなるでしょう。
とはいえ変形サイズ名刺というのは、もらったあとのファイル管理がしづらく、特に通常サイズより大きい名刺では、一般的なファイルに保管することも難しいため、かえって相手に迷惑をかけてしまう場合もあるかもしれません。
名刺を印刷する場合のサイズ指定

名刺サイズや比率についてはご理解いただけたと思いますが、それでは名刺デザインを印刷会社へ入稿する場合の、サイズ指定の実際についてを解説いたします。
ピクセル(px)
Web上でデザインを行う際に、mmの他にピクセル(px)という単位があるのを聞いたことがある人も多いでしょう。
では、このピクセル(px)というのは、いったいどういう単位なのでしょうか。
ピクセル数は「画素数」と呼ばれることもあり、これはほぼ同じものを指していると考えて差し支えありません。
画素とは「デジタル画像を構成する最小単位」のことをいい、すべての文字や画像は小さな「画素」が組み合わされてできています。
つまり、構成する画素数が多いほど、描き出された画像はきれいに見える、という原理があります。
解像度(dpi)
この時同時に考える数値に、もう1つ「画像解像度(dpi)」というものがあります。
これは、1inch(25.4mm)あたりに含まれる画素数を数値化したもので、「1inchあたり100画素」が含まれていれば、画像解像度は100dpiです。
印刷会社に入稿する名刺データの条件
特に写真やイラストなどの画像データを使った名刺の場合、このピクセル(px)と画像解像度(dpi)の値が大きければ大きいほどきれいに表現できるという理屈になります。
かといって細かすぎればいいというわけでもなく、通常の印刷会社で推奨されている名刺印刷時の画像解像度は350dpiの場合が多いでしょう。
つまり、一般的な名刺サイズ91mm(3.58inch)×55mm(2.16inch)に必要な画素数は、次のとおりとなります。
- 91mm(3.58inch)×350dpi=1,253px
- 55mm(2.16inch)×350dpi=756px
- 1,253px756px=947,268px
つまり、名刺4号のサイズをきれいに印刷するために必要な画素数は、947,268pxということです。
サイズ指定はピクセル(px)よりもmmがおすすめ
Adobe社のPhotoshopや、Microsoft社のExcelなどのソフトでは、こういったピクセル(px)で画像サイズを指定する場合がほとんどです。
しかし、通常の名刺印刷業者で入稿を受け付けている、IllustratorやWord(業者によりPDFに変換する必要があります)では、原稿のサイズをmmで設定することができます。
こうしたmmで設定することのできるソフトでは、mmでサイズを設定し、画像解像度(dpi)を別途設定するのが手軽な設定方法かもしれません。
まとめ
この記事では、名刺デザインをする時には避けて通れないサイズについて、一般的な名刺サイズから変形サイズ、さらには各国の名刺サイズについて紹介。
加えて、名刺デザインをする際に理解しておく必要のある、2つの数値について詳しく解説をいたしました。
- 画素数=ピクセル(px)
- 画像解像度(dpi)
名刺サイズについて理解するとともに、こうした実質的な数値を理解することが、よりクオリティの高い名刺デザインをする際には必要です。
プロのデザイナーでなく、自身の名刺を自分で作ってみたい人でも、最低限この数値だけは頭に入れておけば、印刷業者にデザインを入稿する場合にも困らないでしょう。