ビジネスシーンで初対面の相手と会う時は、欠かせない営業ツールである名刺。
その名刺のデザインですが、現在は横型の名刺が主流となっているようです。
これはホームページアドレスやメールアドレスなど、英数字表記のレイアウトがやりやすいということに起因しているのでしょう。
しかし、そんな中でもあえて縦書き名刺を用意することは、かえって初対面の相手の印象に残りやすいということでもあります。
この記事では、縦型名刺をおしゃれにデザインするコツや、そのメリット・デメリットについて、縦書き・横書きそれぞれのパターンについて解説します。
トラッドなイメージの名刺が欲しい業種の方や、個性的な名刺が欲しい方は、この記事を最後まで読んで、あえてマイノリティな縦型名刺の魅力を再確認してみてください。
縦型名刺の2パターン

縦型名刺をデザインする場合、配置するテキストをどのような書き方にするかによって、「縦書き」と「横書き」の2パターンに分けられます。
それぞれにメリット・デメリットがありますし、与える印象も大きく変わってきます。
自分が求める名刺のイメージをしっかりと確認しておけば、この選択に迷うことはありません。
そのためのヒントを、次章からは詳しく解説します。
縦型縦書き名刺が与える印象

縦型縦書き名刺の与える印象は、おおむね次のようなものが考えられます。
- トラッド(伝統的)
- 信頼性
- 堅実性
- 堅苦しい
これらのことをふまえて考えれば、次のようなメリット・デメリットが導き出せます。
縦型縦書き名刺のメリット
縦型縦書き名刺の1番大きなメリットは、日本語表記との親和性です。
もともとが縦書き向けに生まれた日本語ですから、当然のことではありますが、日本語を表記した場合のデザイン的落ち着き感は、横書き名刺の比ではありません。
その分、信頼性や堅実性、または老舗感や歴史を感じさせる、伝統的デザインの名刺ということができるでしょう。
特に明朝体系のフォントと組み合わせれば、より信頼性がアップした堅実な印象の名刺を作成することができます。
縦型縦書き名刺のデメリット
縦書き名刺の1番のデメリットは、メリットと真逆の英語表記との相性の悪さです。
日本語は縦でも横でも対応することはできますが、英語の場合は縦書き表記すること自体がほぼ不可能といってもいいでしょう。
そのため、現在の日本のビジネスシーンにおいては、情報の掲載が難しい名刺デザインと言えます。
さらにどうしても堅苦しい印象が強くなってしまうため、ラフで個性的な名刺を作るには、若干ハードルが高いレイアウト形式です。
それを解決するために写真などの画像を使おうと思っても、レイアウト自体にかなりのデザインスキルが求められます。
縦型縦書き名刺デザインの注意点
縦型縦書き名刺をデザインする場合に、最初に考えておきたいことは、なるべくシンプルな情報にしぼってレイアウトするということです。
社名と個人名に加え、住所や電話番号だけでなく、ファックス番号、メールアドレス、ホームページアドレス、SNSアカウントなどなど。
あまりに多くの情報を詰め込んでしまっては、美しくおしゃれな名刺を作ることはできません。
英語の入力方法
住所の番地や電話番号など、数字データだけであれば、そのまま縦書きにすることも可能です。
また、漢数字を使うことでよりキッチリとした、お堅いイメージを演出することができます。
しかし、URLなどの英語を縦書き名刺に組み込む場合には、右に90度反転させて、その部分だけを横書き表記としなければなりません。
もしも他に記載するデータが多い場合には、英語表記の部分だけは裏面に記載したり、URLなどはQRコードに変換するなどの工夫も検討すると良いでしょう。
縦型縦書き名刺に向いている業種・業態
もっとも信頼性・堅実性をイメージさせる名刺デザインのため、士業や医療関係、保険業や学校関係などの、信頼性を担保する必要のある業種には向いています。
また、歴史があり伝統をアピールしたい小売店や飲食店などの、店舗型ビジネスの利用も良いでしょう。
縦型横書き名刺が与える印象

名刺用紙を縦置きに配置して、そこに横書きでテキストをレイアウトするのは、本来からすればトリックプレイのような使い方のため、より個性的なイメージを演出することができます。
縦型横書き名刺のメリット
現在の日本の名刺の主流は、やはり横型です。
そのため、あえて縦書き名刺を選ぶメリットは、その中でも「目立つ」ということに他なりません。
かといって縦型縦書き名刺では、どうやっても堅苦しい印象がぬぐえない中、あえて縦型横書きという、もっともマイノリティなレイアウトを選ぶことにより、あきらかに「目立つ」個性を演出することができます。
それでいて縦型名刺のトラッドさは失わないため、伝統と革新のおいしいところどりのような、特別感をアピールできる名刺デザインには向いているでしょう。
また、レイアウト的にも縦書きでは配置のしづらい、英語表記も問題なく表記できるため、うまくレイアウトすることさえできれば、違和感の無いおしゃれな名刺が手に入ります。
縦型横書き名刺のデメリット
デザインサンプル自体が少ないため、既存の印刷業者を利用とした場合でも、そこに用意されたテンプレートが、他と比べてバリエーションに乏しいのは、縦型横書き名刺のデメリットと言えるでしょう。
さらに左右の幅が短く、長い住所やURLなどは複数行になってしまうことも懸念されます。
また、文字の配置なども限定されるため、、横書き名刺と比べた場合の自由度は限られます。
加えて相手先がファイルに名刺を整理した場合、横書き主流の中に交じると、読みづらいというのも地味にデメリットと言うこともできます。
縦型横書き名刺デザインの注意点
縦型横書き名刺をデザインする場合は、テキストデータのレイアウトに気を配る必要があります。
左寄せ、右寄せ、中央寄せと、それぞれのレイアウトをうまく組み合わせ、見た目にもバランスの取れたデザインとすることが、このパターンの名刺をおしゃれに見せるポイントです。
テキストデータのみの場合でも、写真などの画像データを使用する場合でも、縦型横書き名刺の場合には、特に名刺の黄金比を意識してデザインすると、失敗がなく美しいデザインの名刺を作ることができるでしょう。
>>参考記事【名刺サイズは黄金比が基本|黄金比を意識したデザインの作り方】
縦型横書き名刺に向いている業種・業態
縦型横書き名刺に向いている業種・業態といえば、特別な個性を演出したい業種や、伝統と革新のバランスをとりたい業種が考えられます。
例えば
- 歴史がありながら常に新しい挑戦を続ける服飾店
- 自身の作品を個性的に見せたいフォトグラファー、イラストレーター
- 個性的な文章で自分を表現するブロガー
- 伝統的な技術で新しい料理を生み出す創作居酒屋
- 自身のセンスをアピールしたいデザイナー
こういった業種・業態の方々には、特におすすめできるのが、マイノリティ代表の縦型横書き名刺です。
まとめ
この記事では、ビジネスシーンの中で大切な営業ツールである名刺の、特に現在の主流とは外れた縦型名刺の特徴について、メリット・デメリットや向いている業種・業態などを解説してまいりました。
横型名刺に比べれば、難く信頼性のあるイメージの縦型名刺は、うまく使えば自身のブランドイメージを高めてくれる、頼りになる営業ツールになってくれます。
縦書き・横書きどちらの場合でも、デザインバリエーションは横型と比べると限られているのが縦型名刺です。
デザイナーに頼んでセンスを存分に発揮したデザインをしてもらったり、気に入ったテンプレートを持つ印刷業者を探し出したりと、多少の苦労はあるかもしれません。
しかし、その苦労の分、イメージにピッタリの縦型名刺を手にした時の喜びもひとしおだと思いますよ。